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こんにちは。

薬剤師として、働き始めてすぐに習うことが多いのではないでしょうか。

「テトラサイクリン系と2価または3価の陽イオンはキレートを形成して吸収阻害するため併用注意」

という内容です。

このため、牛乳やヨーグルト、鉄剤などとは2時間以上離して服用するように服薬指導をします。

最近、ふと、ビブラマイシン(ドキシサイクリン)の添付文書を見て気づいたのですが、薬物動態の欄に

ドキシサイクリン塩酸塩水和物は、ミルクや食物との同時摂取により血中濃度のピークが遅れるものの吸収が妨げられることはない

と、書いてあるんですよね。

食物だけなら良いんですが、ここに【ミルク】って書いてあると、薬剤師としては「あれ?」ってなるわけです。

カルシウムを豊富に含むミルクと一緒にテトラサイクリン系を内服しても影響はないってこと・・・?

しかし、相互作用の項目には、カルシウムなどと併用すると吸収阻害が起こる可能性がある、と記載があります。

んー??どういう意味だ??

はい、調べてみました。(メーカーにも問い合わせました)

先に結論を書きます。

① テトラサイクリン系の中でも、ドキシサイクリンとミノサイクリンは、相互作用の影響がそもそも少ない。

② ドキシサイクリンはカルシウム等を含む薬剤とは併用注意だが、食物は影響がない

③ ミノマイシンはカルシウム等を含む薬剤と食べ物と併用注意である

 

それぞれの薬剤に相互作用についての研究がされており、様々な結果があります。

ミノサイクリン文献①

ミノサイクリン文献②

ビブラマイシン文献

 

なぜこういう結果となったか。

ドキシサイクリンは添付文書やIF上で、「ミルクや食物が薬物動態へ影響することはなかった」と謳っておりますので、情報レベルとしては1番優先されることになります。(他の文献では影響があるかもしれない、とも記載がありますが)

ミノサイクリンは添付文書やIFでドキシサイクリンのような相互作用の薬物動態の情報がありません、その為、我々医療者がそれぞれ文献を読み解いて判断するしかありません。影響が少なかったという報告もあれば、影響があったという報告もありますので、一概にどちらとはいい難いです。

 

私個人の結論としては

ドキシサイクリン → カルシウム剤などとの併用は時間を離したり、避けたりするべきだが、食べ物の制限はない

ミノサイクリン → カルシウム剤やカルシウム多くを含む食物とは時間を離したり、避けたりするべき

という、理解したいと思います。

一概に〇〇系というだけで判断できないところも、薬学的には面白いところではありますね。



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