こんにちは。今日は鉄欠乏性貧血について少し書きます。
再生不良性貧血、腎性貧血、溶血性貧血など、貧血には様々な種類があります。
この中でも鉄欠乏性貧血が最も多くの割合を占めています。
体内で酸素を運搬する赤血球中のヘモグロビン合成には鉄が必要ですが、何らかの原因で鉄が不足することにより、ヘモグロビンが足らなくなり、貧血が起こります。
基本的には体が必要とする鉄の量より、摂取する鉄の量が少ない場合におきます。
体が必要な鉄の量が増える原因として、成長期であることや、出血(生理や消化管出血)などがあります。
また、ヘリコバクターピロリという菌が胃に繁殖していると、胃酸が弱まり、酸性度が低くなります。
鉄は酸性条件下の方が吸収が良くなるので、結果的に鉄が吸収されにくくなります。
この辺りはイメージがつきやすいかと思います。
体に酸素を運ぶことが難しくなるため、疲れやすさや疲労感がでます。
それ以外にも鉄は体の中でさまざまな働きをしています。
爪を作るためにも使われますし、神経系にも必要ですので、そのあたりにも症状が出ます。
貧血の診断基準は赤血球に含まれるヘモグロビン濃度の低下です。
また、鉄欠乏性貧血の診断では体内の貯蔵鉄(鉄のストック)を表す血清フェリチン値も確認します。
原因にもよりますが、ヘリコバクターピロリ感染や、消化管出血などであればそちらの治療が優先されます。
食事から摂取できる量は微量ですが、明らかな偏食や過度のダイエットなどをされている場合はその是正が必要です。
それ以外の場合は錠剤の内服で鉄を補給します。この際、ビタミンCは鉄の吸収率を上げる作用があるため、一緒に取ることをお勧めします。
また、一般的ではないですが、大量の出血などで鉄の損失が大きく、経口では補充が間に合わない場合は注射で鉄を入れる場合もあります。
鉄剤を内服した時、気持ち悪くなったりする方もいます。(消化器系の副作用)
飲むときはなるべくお食事直後、胃の中に食べ物が残っている時に飲む方が気持ち悪くなりにくいです。
フェログラデュメットやフェルム徐放性剤(ゆっくり溶けていくタイプ)は消化器に優しい製剤ですのでそういったタイプに変えてみるのもひとつです。
また、鉄は抗生剤など他の薬との飲み合わせが悪い場合もあります。
すべての薬剤で共通していますが、新しく薬を始める場合には薬剤師に相談してくださいね。