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今回はステロイド外用剤の強さについて記載します。

ステロイドの塗り薬を使っている方は多いかと思います。

アトピーのような炎症を伴う皮膚症状がある方や、虫に刺された時など様々な場面で使われます。

しかし、ステロイドの種類はたくさんあり、強さも異なります。

ステロイド剤とは?

ステロイド剤の効果はたくさんあります。

大きく分けて糖質コルチコイド作用と鉱質コルチコイド作用がありますが、ステロイドの塗り薬で期待されるのは糖質コルチコイド作用になります。

糖質コルチコイド作用の代表的な作用は以下の通りです。

  1. 血糖上昇作用(肝臓での糖新生を促進し、他の器官での糖利用を抑制することで血糖値を上げます)
  2. 脂肪組織分解(脂肪の分解を促進しますが、限局的で体全体から均一に脂肪を減少させるわけではありません)
  3. 抗炎症作用(外用剤でのメインの作用です。痛みや炎症を抑える働きがあります)
  4. タンパク分解(たんぱく質を分解し、そこから糖を作ろうとします。皮膚委縮の原因となる作用です)
  5. 免疫抑制(体の免疫にかかわる伝達物質を抑えることで免疫力を下げる働きがあります)

この中でステロイド外用剤に期待されるのは「抗炎症作用」ということになります。

ただし、飲み薬でステロイドを服用する場合はそれ以外の目的の場合もあります。

ステロイドの強さは?

ステロイドは何種類もありますが、それぞれで強さが決まっています。

5段階に分けられており、強い順から、strongest > very strong > strong > medium > weak  となります。

変な分け方と思う方もいるかもしれませんが、最初は3段階だった分類が、後からドンドン作用が強い薬剤が開発されたため、このような分け方になったそうです(;’∀’)

ただし、この分類の中でもステロイドの強弱は存在します。

例えば、メサデルムとフルコートはどちらもstrongに分類されるステロイドですが、効果はメサデルムの方が強いと考えられており、ステロイドの構造式の違いや血管収縮指数がその理由になります。

構造式から考える

これはコルチゾールの構造式です。コルチゾールとは体内で作られるステロイドの1種です。

これをどうやって改造したら、ステロイドとしての作用が強くなるか、ということが研究されてきました。

このように「どこを改造すれば効果が強くなるか」ということはわかってきているため、構造式を比較することでステロイドの強さを推測できます。

例えば、先ほどのメサデルムとフルコートであれば、

 

 

 

 

 

メサデルムはステロイドを強くする部分が5か所ありますが、

 

 

 

 

 

フルコートは4つになりますので、「メサデルムの方が強そうだな」となります。

(厳密には「どの改造の効果が高いか」という話も含まれますが、ここでは割愛します。)

血管収縮指数から考える

また、血管収縮指数で比較する方法もあります。

血管収縮指数はMckenzie and Stoughtonが1962年にステロイドの強弱を比較するために作成した指標です。

その方法は・・・

「健康志願者の前腕屈側の皮膚に,95%アルコールに種々な濃度にコルチコステロイドを溶解した溶液0.02 ml雌滴下し,乾燥後サランラップで密封し,16時間後にサランラップを除去し,その部の血管収縮の程度を判定する。」

つまり、普通の塗り方で比較した結果じゃないんですよね。

ただし、同じ条件で比較しているのであれば、強さの値は違うかもしれませんが強弱の比較には有用な指標かな、と個人的には思っています。

以下に血管収縮指数の一覧を載せます。(参考程度にお考え下さいね)

薬局で買うステロイドと医師から処方されるステロイドの違い

ドラッグストアなどで購入できるステロイド剤は、ほとんどが効果がマイルドなものになっています。

患者さんが自己判断で使うものなので、安全を考えてのことかと思います。

それに比べて医師から処方されるステロイドは弱いものから強いものまであります。

勘違いしてはいけないのは「医師から処方されたステロイドだから効果が強いはず!」ということです。

これは間違っています。医師が選ぶステロイドは「現在の症状に合った強さのステロイド」であり、決して「効果が強いステロイド」というわけではありません

肌の状態や部位などによってステロイドの吸収率や効果も異なりますので、それぞれを判断して医師は選んでいます。

ドラッグストアで買ったステロイドの方が効果が強い場合だって考えられます。

特に症状がひどくない場合は、ドラッグストアで薬を買って使っても良いかと思いますが、ハチに刺された時のように症状がひどい時や、買った薬を塗っても治らない場合は皮膚科を受診することをお勧めします。

 





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